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Learning about make KAMABOKO

冷凍すり身を使用した練り製品製造にかかせない魚介エキスの開発過程と、製品の特徴

魚介エキス開発の経緯

そもそも冷凍すり身の製造工程には水晒という工程があります。水晒は、自己消化を起こしたり、変成を促す酵素等でできる筋形質蛋白質を除去することが目的で、すり身の色調の低下を抑制する効果がある反面で、水晒工程によって、魚肉に含まれる旨味成分や血合い、油脂が除かれてしまうために、味や風味がない魚肉タンパク質の固まりが冷凍すり身です。

そこで、水晒後に魚介エキスを添加するのが冷凍すり身を使用した練り製品の一般的な製造方法となります。

ところが、1995年にタイにあるK社に駐在になり、練り製品の配合を作成した時に、日本では普通に存在する魚介エキスがなかったことが今回の魚介エキスの開発のきっかけとなります。

2011年にL社の招聘により2度目のタイ駐在をした際には、日本風練り製品の開発ために九州にあるM社のエソキスを輸入して練り製品に配合添加しました。しかしながら日本で原料不足などにより、M社からの輸入が不可能になってしまいました。

さらに、近年では単一の水産原料を使用した魚介エキスの供給が不安定である事、昨今の流れである持続可能な開発目標設定やサスティナビリティ(持続可能性)等の考え方を持つことが
世界中の企業に課せられている事を背景に、従来の魚介エキス原料に加えて未利用資源(特に魚介類の残渣)を使用した魚介エキスの製品開発を行ないました。

魚介エキスの製品内容

この魚介エキスは、エソエキスを中心とし香料技術を活用した独自の抽出法によって作製された魚介類残渣活用原料に、アミノ酸等を組み合わせた製品です。
香料開発的観点により配合する原料も考慮していますので、他社には無いタイプの魚介エキスであると考えています。

製品の特徴

エキスとして良く使用されるホタテ濃縮液と比較したアミノ酸分析では、ホタテエキスとは違うベクトルのアミノ酸を有するよう設計されており、グルタミン酸を多く含むことより旨味を付与するのみでなく、味を全体的に底上げする効果が期待できます。

日本企業による評価

(1)K社(水練メーカー)

さつま揚げ、チクワ等へ0.5%程度添加したところ、すり身の旨味がUPし製品へ厚みが増したとの評価。本製品を使用すれば使用しているすり身原料を減らすことや、グレードの低い原料でもより良い品質の製品が作製できコストダウンにも繋がる。

(2)N社(水産、冷凍食品メーカー)

カニカマへ0.3%程度添加したところ、カニ身感がUPするように感じられた。また、良い雑味及び旨味がありより本物のカニ身に近い表現ができる。

(3)M社(シーズニングメーカー)

魚介の旨味が強い為、おつまみ系のスナック向けシーズニングへの使用も可能。例えば、「でん六 ポリッピー」等は魚介エキスパウダーが使用されているため、そちら方面への展開も十分可能性がある。

この魚介エキスを使用した練り製品の商品化事例

タイにおいて、この魚介エキスを使用した練り製品を開発に携わりました。