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澱粉は、アミロースとアミロペクチンの2種類から出来ている。アミロースとアミロペクチンとの割合は普通の澱粉でアミロース20〜25%、アミロペクチン75〜80%である。
穀類でん粉 | 小麦でん粉、米でん粉、とうもろこしでん粉 |
いも類でん粉 | 馬鈴薯でん粉、甘藷でん粉、タピオカでん粉、他(レンコン、クワイなど) |
豆類でんぷん | 緑豆でん粉 |
野草類でん粉 | クズでん粉、カタクリでん粉、ワラビでん粉 |
澱粉の粒子は水と同時に存在して加熱されると糊状になる。これが蒲鉾に添加された場合、混合されたすり身の加熱されると同時に、白色の澱粉が透明化していく。この変化を糊化という。
膨潤した澱粉の粒子は温度を下げていくと再び不溶の状態になり沈殿してくる。長期間蒲鉾を低温状態保存する間に少しずつに離水や身質のざらつき等の劣化が生じていく変化が老化である。
多種に較べ最も大型粒子でかつ最も糊化しやすい。
加熱直後はやや弾力ある食感で、2~3日冷蔵後適度な食感になるが、これ以降は老化する。蒲鉾へは最も古くから使用されてきた直加熱する商品に適した澱粉である。
糊化する力は馬鈴薯澱粉より劣るがとうもろこし澱粉より強く、老化はより遅いという長所を持っている。
加熱直後は弾力は少く、硬さはやや劣る傾向がある。坐り工程のある食品に適した澱粉である。
成分の中にアミロースや蛋白質及び油分が存在している。その為加熱による粒子の破壊が起こりにくいので、糊化温度が高い。
練り製品に添加した場合、加熱直後の食感は適度な弾力である。冷蔵後2~3日で水っぽさのない硬いが粘りのない食感となる。
その後の経時変化は比較的少ない澱粉である。
糊化する温度は小麦澱粉より多少低い。
練り製品へ添加して加熱した場合、餅のような食感となり、また弾力の補強効果と老化はほとんどみられない澱粉である。添加した澱粉中の10〜20%を代替えすることで老化防止・離水抑制に効果がある。
馬鈴薯澱粉より糊化しにくいが、小麦澱粉より糊化しやすい。練り製品へ添加して加熱すると軟らかいがしなやかな食感となる。
経時変化は少なく老化が少ない澱粉である。
練り製品へ添加して、加熱後は澱粉を添加してないような物性で、弾力の強度をアップしにくい澱粉である。経時変化は遅いく、少しずつ表れてくる澱粉である。
通常の澱粉の特性を目的に応じて化学的、物理的、酵素的に加工処理したものが加工澱粉である。
馬鈴薯澱粉やとうもろこし澱粉等、原料によって分類され、さらに使用目的に応じて分類され、種々のタイプの加工澱粉が市販されている。
使用するすり身の品質や種類、添加割合に対して澱粉の添加量には最もその製品に適した物性となる適正値がある。
製品により賞味期間は様々だが、それぞれの範囲内で老化しない適正添加量がある。
加熱調理されて食されるような製品なら少しの老化であっても賞味時の影響は小さい。
一般的に練り製品に澱粉を添加する場合、澱粉の種類によって違いがあるが、その澱粉添加量の2~3倍量の加水を添加することも可能である。
澱粉を練り製品に添加する場合、好ましいと言える食感を得ることの出来る量の添加は物性の改良として「弾力補強」と言える。
しかし練り製品に対して物性の劣化に至る量まで澱粉を添加した場合は「増量」になってしまう。
大豆たんぱくとは、大豆から分離抽出したタンパク質である。
練り製品に添加する場合2種類ある。第一に魚肉すり身の蛋白質と混合して弾力形成を補助する粉末タイプ。第二に粒子状または、繊維状で種物のような食感を持つ固形タイプである。
大豆たんぱく質の粉末タイプにも濃縮大豆蛋白(70~90%)および分離大豆蛋白(90~95%)があります。不純物の少ない分離大豆蛋白が、風味の点からも練り製品に対して最も使いやすいものです。
魚肉練り製品も種々の製品が開発され、油脂なども利用増加されてきています。練り製品へ対する油脂添加方法として大豆蛋白の乳化力が利用されています。大豆蛋白と油脂と水から成るエマルジョンをあらかじめ調整しておき、塩ズリしたすり身に投入して練る方法です。
ここで製品への色調と物性への影響が注意すべき点です。白色で透明感があってしなやかな食感の高級すり身を用いた蒲鉾やかにかま等に添加する場合は、製品の品質を低下させる可能性があるので注意が必要です。
下級洋上すり身や陸上すり身及び等を用いた揚物や竹輪等では多く添加でき、品質の改善も可能ですのでうまく活用すべきです。添加量は、通常の配合であれば、エマルジョンとしては全体量の40%位が限界です。
大豆蛋白を使用した練り製品を作る場合の擂潰手順は、あらかじめ大豆蛋白と水及び油脂とを良く混合してペーストを作り、魚肉すり身の荒ズリ段階でこのペーストを添加し、十分に均質化して食塩を加えて練り上げます。
練り製品に添加される副原料の中で澱粉、大豆たんぱくと共に大切なものはグルテンである。
その弾力形成能力、乳化性および原価低減の点で利用できるものである。
活性グルテンを使用する目的は練り製品の物性上の改善である。
さつま揚げのような煮込み用の練り製品で、煮込み時間が長くなると軟らかくなりやすい程度を少なくすることが出来、さらにレトルト処理する練り製品の物性を維持する効果があります。また大豆たんぱくのエマルジョンを添加したさつま揚げや竹輪の弾力低下を補足して練り製品らしい弾力を保持することができます。
活性グルテン使用の注意点は、攪拌時の混合するすりみ身の粘度や硬さへの影響を考慮する必要があります。さらに製品になった時の改善された食感と風味の違いを確認することも大切です。一般的なさつま揚げでは1.5%の添加が限界です。
以前はL-グルタミン酸ナトリウムをうま味調味料と呼んでいたが、現在では他のうま味調味料であるイノシン酸Na,グアニル酸Naおよびコハク酸等も含めてうま味調味料と言っている。
うま味調味料を様々な割合で配合したものが複合調味料である。
以前は天然のだしや醸造調味料だけを天然系調味料と呼んでいたが、最近では天然物を原料として加工したものまでを含めて天然系調味料としている。
二つに分かれており、抽出型はエキス分を主成分としていて、分解型は加水分解物を主成分としている。
配合調味料とは様々な調味料・香料等を混合して練り製品の配合をする場合に取り扱いやすくしたものである。
蒲鉾用にも専用の配合調味料がある。目的とする製品の品質や、製造工程で使いやすいように調整して選択調合することができる。
原料は植物であり、その芳香と刺激性を練り製品の風味向上に使用される。
蒲鉾への使用は、畜肉原料を使用したものの風味付けや辛味や風味を強調する商品へ使用するが、所謂伝統的な蒲鉾で使用されることは少ない。
においの点で作用して練り製品の風味を向上させるフレーバーを指す。
原料で見ると香辛料は植物に限らているが、香料では様々な原料から生成される。
香料の種類は天然、合成及び調合の三つに分けられる。
蒲鉾に添加させる場合、ほとんどが海産物の風味付けである。主なフレーバーはカニ、ホタテ、海老、ウニ、スルメ等が主なものである。カニ風味蒲鉾やホタテ風味蒲鉾等の風味を強調する練り製品に添加されて調味するには欠かせないものとなっている。
酒類は蒲鉾に添加すると風味を丸めることが知られており、高級な蒲鉾にはよく使用される。
みりんは糖類を多く含むので甘味調味料としても利用されたり、蒲鉾表面の焼き色や揚げ色の着色と風味向上としても使用される。
日本酒は練り製品の風味を丸めたり、甘味は少なく、加熱時の褐変の影響が少ないことが特徴である。焼酎の使用目的もほぼ同様であるが、多用するとクセがでるという欠点がある。ワインの使用目的も日本酒と似ているが、風味上、ふつうの蒲鉾には合わないかもしれない。
製造工程中に醗酵工程のある調味料で、飲めないように塩が加えられているものである。
みりんと日本酒の中間タイプであり、目的に応じてさまざまな種類がある。
風味は当然としてそのアルコール塩分濃度についてもチェックが必要である。
油の味はそのにおいと独特な口どけが加わる。
練り製品に油脂類を使う目的は主に揚物類のコク味の向上と身質が細かくなることである。
大豆白絞油などの植物性油脂が主流で、5%程度まで添加可能で、身質は乳化に伴う白色化も期待できる。